2013年8月2日金曜日

新フォームファクタ「M.2」、「mSATA」との違いとは

PCの世界で言うフォームファクターとは、基盤のサイズやソケットの形状などの物理的寸法などを定めたものです。現在のノートパソコンでは、拡張スロットとして「miniPCI Express(miniPCIe)」を備え、ストレージ用にminiPCIeと同一形状のmSATAと呼ばれるスロットが搭載されていることが一般的です。

ノートパソコンでは、現状miniPCIeやmSATAが主流ですが、今後は、「M.2」と呼ばれる形状(フォームファクター)に移行すると予想されています。今回は、今後普及が進むと予想されるM.2について説明したいと思います。

M.2は、当初、「NGFF(Next Generation Form Factor)」と呼ばれていたフォームファクターです。miniPCIeよりも小型でさまざまな基盤サイズが規定されています。多くのインターフェースをサポートしている点も特徴です。M.2では、PCI Express、SATA、USB2.0/3.0、Display Port、SDIO、UARTなどをサポートしています。miniPCIeでもPCI ExpressやSATA、USBなどさまざまなインターフェースがサポートされていましたが、M.2でも同じように広範なインターフェースをサポートしています。また、M.2やminiPCIeでは、複数のインターフェースをカードスロットに結線しておき、セットしたカードによって接続インターフェースを自動選択する機能も搭載されています。

たとえば、現在主流のminiPCIeには、PCI ExpressとmSATAのコンボスロットとよばれるカードスロットがあります。コンボスロットは、PCI Express接続の機器とSATA接続の機器の両方の接続をサポートし、mSATA機器を接続すると自動的にSATAで接続され、PCI Express接続のWi-Fiカードなどを接続すると自動的にPCI Expressで接続されます。装着できるカードは1枚だけですが、1つのカードスロットで複数のインターフェースをサポートしています。

M.2も同様ですが、カードの寸法の自由度が高いため、miniPCIeよりもさらに複雑です。M.2には、12mm~30mmまでの4種類の基盤の幅、16mm~110mmの8種類の基盤の長さ、シングルサイド3種類/デュアルサイド4種類の計7種類の基盤の厚み、A~Mまでのコネクタ形状があります。M.2は、これらの組み合わせで設計できるため、実際のカード(モジュール)の形状は、非常に多岐に渡ります。

M.2において重要なのが、「Key ID」とも呼ばれる接続コネクタ形状とアサインされているピン数です。Key IDは、リザーブされているをものを除くと、大きくKey A、B、E、Mの4種類が使われており、その用途は、以下のように区別されています。

Key IDインターフェース
APCIe x2/USB/I2C/DP X4
BPCIe x2/SATA/USB/PCM/UIM/SSIC/UART
EPCIe x2/USB/I2C/SDIO/UART/PCM
MPCIe x4/SATA

M.2では、カードスロットのKey IDは1種類のみ。そこに接続するカード(モジュール)は、1つのKey IDのシングルスロットモジュールまたは2つのKey IDのデュアルスロットモジュールで設計できるようです。シングルスロットモジュールの場合、Key IDが一致するカードスロット以外には機器を接続することができないようなので注意が必要です。たとえば、Key Bのカードスロットに、Key Mのシングルスロットモジュールのカードは刺さりませんし、その逆も行えないようです。

ASUSのマザーボード「MAXIMUS VI」シリーズは、M.2のカードスロットを備えていますが、このカードスロットは、Key Bのようです。また、前回の記事で紹介したSAMSUNG社のPCIe SSDは、シングルスロットモジュールのKey Mで設計されています。このため、「MAXIMUS VI」シリーズのM.2のカードスロットは、SAMSUNG社のPCIe SSDが刺さらないという現象が発生しています。

ストレージを使用する上で覚えておきたいM.2のKey IDは、PCIeとSATAの両方をサポートしているKey BとKey Mです。両者の最大の違いは、サポートするPCIeの速度です。Key Bは、PCIe x2。Key Mは、PCIe x4をサポートしています。Macbook Airに搭載されているPCIe SSDのようにPCIe x2接続の製品もあるので絶対とは言いませんが、今後登場が予想されるPCIe SSDは、PCIe x4の製品が主流になると推測されます。このため、必然的にPCIe SSDでは、Key Mの製品が一般的になるのではないでしょうか。

また、SATA接続のSSDの場合は、Key BとKey Mのどちらでも設計できます。このときに重要になるのが、カードがデュアルスロットモジュールとして設計されているかどうかです。M.2のSATA接続のSSDが、Key BおよびKey MのデュアルスロットモジュールならKey B/Mのどちらのスロットにも接続できますが、シングルスロットモジュールの場合は、どちらか一方にしか接続できないので注意が必要です。

最後にM.2のカード形状の読み方を説明したいと思います。M.2では、カードの形状を「Type 2280-D2-B-M」のように記述します。この場合、最初の「22」がカードの幅(22mm)、「80」がカードの長さ(80mm)、「D2」がカードの厚み、末尾の「B」と「M」はKey IDを指しています。このカードの場合は、「B」と「M」の2つのKey IDがあるので、デュアルスロットモジュールということなります。

2013年7月31日水曜日

動き出した新世代SSD、PCIe SSDとは

Intelの最新CPU「Haswell」を搭載したパソコンの一部で、PCI Expressネイティブ接続のSSDを搭載した製品が登場しました。そこで、今回は、PCI Expressネイティブ接続のSSD(以下、PCIe SSD)について説明したいと思います。

PCIeネイティブ接続のSSDの出荷を開始したのは、概報の通り、SAMSUNG社です。
SAMSUNG社のPCIe SSDは、現在、規格策定が進むSATA Expressの機能を一部先取りしたような製品です。この製品を「SATA Express」対応と呼ぶかどうかは別として、コンセプト的には同じものと考えてもらって差し支えありません。

この製品は、インターフェースに従来のSATAではなく、PCIeを採用したことが最大の特徴です。これによって、PCIe 3.0接続の場合で、最大4GB/secというSATA 6Gを超えるインターフェース速度を実現しています。多くの方がご存知のようにSATA 6Gというインターフェースは、現在のSSDにとってすでに帯域不足でその性能をフルに活かすことができません。SSDは、今後、高速なPCIeをインターフェースに利用することで高速化を図っていくことになります。

なお、PCIe接続のSSDには、今回のSAMSUNGの製品のようにPCIeネイティブ接続の製品とRAIDコントローラーを使った製品があります。前者のPCIeネイティブ接続の製品は、NANDフラッシュメモリの制御を行うコントローラーそのものがPCIe経由でCPUと接続されます。現在主流のSATA接続のSSDでは、SATAを使って接続していますが、これをPCIeに変更したものと考える分かりやすいでしょう。後者のRAIDコントローラーを使った製品は、PCIe接続のSSDとしては、現在もっともポピュラーな製品です。基板上にRAIDコントローラーを搭載し、そこにSATA接続のSSDを複数台ぶら下げています。PCIe接続といっても間にRAIDコントローラーが介在しているだけでなく、接続されているSSDもSATA接続となるなど、PCIeネイティブの製品とはまったく異なるSSDであることに注意してください。本稿では、特に断りのない限り、PCIeネイティブ接続のSSDの説明を行なっています。RAIDコントローラーを利用した製品ではないので注意して読み進めてください。


PCIeネイティブ接続のSSDでは、新しいインターフェース規格が採用される予定です。それが、今年の年末リリース予定の「SATA Express」です。SATA Expressには、動作モードが2つ準備されています。1つが、「NVM Express(NVMe)」。もう1つが、AHCIです。

前者のNVMeは、NANDフラッシュメモリの特性を考慮して設計されたネイティブモードに相当する動作モードです。NVMeは、ACHIをベースにSSD向けの改良を行ったインターフェース規格「NVMHCI」をリファインしたものです。PCIe SSDは、NVMeで使用することでAHCIよりも低レイテンシで動作するようになり、ランダムアクセス性能が向上すると言われています。ちなみシーケンシャル速度は、NVMeとAHCIで大差はないようです。

後者のAHCIは、いわばLegacyモードと呼ぶべき動作モードです。NVMeは、対応した機器でのみ使用できるため、非対応の製品では使用できません。AHCIは、NVMe非対応の機器でも使用できるように用意された互換モードというわけです。SATAの動作モードでいうところの「IDEモード」だと考えてもらうと理解しやすいと思います。

現在出荷中のSAMSUNG社の製品は、AHCIにのみ対応しており、NVMeには対応していません。また、インターフェースもPCIe 2.0 x4(最大2GB/sec)となっており、PCIe 3.0対応の製品ではありません。SAMSUNGでは、次世代の製品でPCIe 3.0とNVMeに対応することを予定しているようです。

広帯域なPCIeをインターフェースに利用することで、大幅な性能向上を果たすPCIe SSDですが、残念なことに、現状のマザーボードでは起動デバイスとして利用できません。というのも、SAMSUNGのPCIe SSDは、UEFI/BIOSに内蔵されている「AHCI BIOS」を利用してOS起動を行うように設計されているからです。

AHCI BIOSは、Intel製チップセットを利用している場合、Intel社が提供しています。現在提供中のAHCI BIOSは、チップセット内蔵のSATAコントローラーのみを対象に設計されています。PCIe SSDは対象外となっているので、SAMSUNGのPCIe SSDを検出できません。このため、現状では、仮にSAMSUNG製のPCIe SSDを入手できたとしても、OSの起動を行うことはできません。データ保存用専用として利用することになります。その際ドライバーは、Windows 7/8のMS純正のAHCIドライバーで問題なく動作ます。また、ソニーのVAIOでは、既存のAHCI BIOSに手を加えることでPCIe SSDをブート可能としています。いうまでもありませんが、このBIOSが一般向けに提供される予定は不明です。

加えて、NVMe対応となった場合にも、AHCI同様にBootROMが必要です。NVMeでは、現在あるAHCI BIOSを拡張するのではなく、別のNVMe対応のBIOSを準備するようです。その場合、NVMeのオン/オフがUEFIに追加されるか、ストレージの動作モードの設定の中にNVMeが追加されるのではないかと推測しています。NVMe対応BIOSの提供がどうなるかも現在のところ不明です。

2013年6月26日水曜日

Intel Driver V11.5以降のSATA LPMの設定

アクセス解析をみていますと、現在でも以前に掲載したSATA LPMの設定に関する記事の閲覧が多いようです。しかし、以前の記事は、Intel製ドライバーがVer10.x(iaStor.sys/iaStorV.sys)の時代に執筆したため内容が古く、V11.5以降のドライバー(iaStorA.sys/iaStorF.sys)では使用できません。Intel製ドライバー Ver11.5以降のSATA LPMの設定方法は、まだほとんど紹介されていないようなので、今回はこれを紹介したいと思います。

最初にSATA LPMを無効にするもっとも簡単な方法を紹介しておきます。その方法は、UEFI/BIOSで「HotPlug」の機能を有効に設定することです。SATA LPMの機能は、Intel/AMDどちらのコントローラーでもHotPlugを有効に設定すると自動的に無効に設定されます。


ただし、HotPlugを有効にすると、USB接続のHDDやUSBメモリーを接続したとき同様に通知領域にある「安全に取り外し」アイコンのリストにSSD/HDDが表示されてしまいます。OS起動ドライブの場合、前述のリストから取り外しを選択しても、常に使用中なので実際には取り外し処理を行うことはできません。しかし、リストに表示されること事態が邪魔臭いという方も多いと思います。そのときは、SATAドライバー(AHCIドライバー)のレジストリを変更することでSATA LPMの機能を無効に設定します。

レジストリの設定は、使っているSATAドライバーによって異なります。たとえば、MS純正のAHCIドライバーとIntel製ドライバーでは設定方法が異なります。また、Intel製ドライバーの場合、V11.5以降ではドライバーそのものが作り変えられたため、V11.5より前のドライバーと設定方法が異なります。ここでは、使用者の多いIntel製ドライバー V11.5以降のレジストリの設定を紹介します。Intel製ドライバーのV11.5より前のバージョンをご使用の場合は、以前の記事を参照してください。

また、MS純正AHCIドライバーのレジストリ設定の方法は、あちこちで紹介されているので本ブログではあえて紹介はいたしませんが、Windows 7/8の場合は、電源オプション画面にSATA LPMの設定を表示するようにレジストリを変更し、「Active」を選択すれば、SATA LPMをオフに設定できます。この方法は、Windows 7/8の両方で有効であることをハードバスアナで確認しています。また、Windows 7の場合は、MS製純正ドライバー「msahci.sys」のレジストリを変更することでもSATA LPMを無効にできます。

それでは、Intel製ドライバー V11.5以降のSATA LPMの設定方法を説明します。Intel製ドライバー V11.5以降は、レジストリエディターで「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\iaStorA\Parameters\Device」を開き、DWORDで以下のキーを作成して設定を行います。

DIPMの有効/無効の設定 Controller0PhyXDIPM(Xはポート番号)
Enable:1(Default)、Disable:0
HIPMの有効/無効の設定 Controller0PhyXHIPM(Xはポート番号)
Enable:1(Default)、Disable:0
HIPMで要求するLPMの状態 Controller0PhyXLPMState(Xはポート番号)
Slumber:1、Partial:0(Default)
DSTATE時にHIPMで要求するLPMの状態 Controller0PhyXLPMDstate(Xはポート番号)
Slumber:1(Default)、Partial:0



なお、SATA LPMの機能が動作しているかどうかをユーザーが確認することは基本的にはできませんが、DIPMに限っては、TxBenchのドライブ情報で有効/無効を確認できます。

2013年4月27日土曜日

SSD/HDD用ベンチマークソフト「TxBench」

今回は、本日公開されたばかりのベンチマークソフト「TxBench」を紹介したいと思います。
このベンチマークソフトを開発したTeximは、僕が光ディスクの原稿ばかりを執筆していたときから懇意にしている方が起こした会社です。TxBenchは、フリーソフトとして配布されており、ここから入手できます。

TxBenchは、Crystal Disk Markライクな基本ベンチマークとIOMeterライクな詳細ベンチマークの2種類のベンチマーク機能を搭載しています。ファイルシステムが存在する場合に使用する「Fileモード」とファイルシステムがない状態で使用する「RAWモード」の2種類測定モードがあります。また、他のベンチマークソフトとは、少々異なった設計思想となっており、測定できるデータ長(送受信サイズ)が、最小、4KB、8KB、16KB、32KB、64KB、最大の7通りと少なくなっています。

基本ベンチマーク

基本ベンチマークの設定画面

測定できるデータ長の種類が少ないのは、ホスト-ドライブ間でやり取りされる実際のRead/Writeコマンドの仕様に沿った設計となっているためです。たとえば、Read/Writeコマンドには、28bitLBAコマンドや48bitLBAコマンド、NCQ対応のコマンドなどいくつかの種類がありますが、28bitLBAコマンドの場合、1回のコマンド当たりに設定できる最大セクタ数は「256」と決められています。つまり、28bitLBA対応のRead/Writeコマンドでは、1コマンド当たり最大128KB(512バイト/セクタのドライブの場合)のデータしか読み書きできません。48BitLBA対応のコマンドでは、もっと多くのセクタを指定できるように拡張されていますが、Windows環境では、ドライバーなどの制限によって、最大256セクタに制限されているのが現状です。

結果として、Windows環境で利用する限り、1コマンド当たりの最大読み出し/書き込みサイズは256セクタ(128KB)となります。それを超える容量の読み書きは、コマンドを分割して送ることで対処しています。たとえば、1MBのファイルを読み書きする場合は、256セクタ(128KB)指定のRead/Writeコマンドが連続して8回送られます。

TxBenchでは、これを考慮して設計されており、計測できるデータ長(送受信サイズ)は、最小、4KB、8KB、16KB、32KB、64KB、最大の7通りとなっています。最小と最大を準備しているのは、ドライバーやSATA、PATA、USB接続などの環境によってこれらが変化する場合があるからです。たとえば、512バイト/セクタまたはAFTのドライブでは、最小データ長(送受信サイズ)は1セクタ(512バイト)となりますが、4Kネイティブドライブでは、4KBとなります。また、PATAなどの場合では最大データ長が128セクタ(64KB)になる場合があります。加えて、現状のドライバーでは、4KBネイティブドライブ環境において、512バイト/セクタのドライブのように256セクタの指定ができないという話もあるようです。

TxBenchで特徴的なのは、IOMeterライクな計測を行う詳細ベンチマークに搭載された機能です。詳細ベンチマークでは、なるべく実環境に近づけることができるように、計測中に物理消去しても問題ない論理アドレスをSSDに通知する「Trimコマンド」を送ったり、キャッシュ内のデータをすべてドライブ内部の記録媒体に書き込む「Flash Cacheコマンド」を送ることができます。この機能は、他のベンチマークソフトには搭載されていない本ソフトの大きな特徴です。また、TxBenchは、詳細なログを取得でき、ベンチマーク中の速度をCSV形式のファイルに保存したり、指定の容量を書き込んだら、指定時間処理を停止することもでき、終了条件を時間または容量で設定できます。

詳細ベンチマーク

詳細ベンチマークのタスク登録画面

詳細ベンチマークのタスク設定画面

詳細ベンチマークの高度なタスク設定画面

ただし、Trimコマンドの送信には、利用環境に条件があります。Trimコマンドは、Windows XP/Vista/7の環境では「RAWモード」でのみ設定でき、Windows 8では、「Fileモード」でのみ設定できます。これは、OS側の制限によるためです。Windows 8では、Windows 7以前とは仕様が変更されているようで、ATA PASSTHROUGHでTrimコマンドがでません。代わりにファイルシステムベースでTrimを行う「File Trim」と呼ばれる方法が準備されています。このため、Trimが送れる環境に制限がついています。

TxBenchは、「Secure Erase」の実行機能や詳細なドライブ情報の表示機能を搭載している点も特徴的です。

Windows環境でSecure Eraseを行う機能は、メーカー製ドライブに付属するツールでは一般的な機能となっていますが、自社ドライブのみの対応となっており、他社ドライブに対してSecure Eraseを実行できません。しかし、本ソフトを使えば、Secure Eraseを実行できます。

Secure Eraseの実行画面

TxBenchを使ってWindows環境でSecure Eraseを実行する方法は、2つあります。1つは、SATAやPATAなどのホストコントローラーに接続されたSSD/HDDに対してSecure Eraseを実行する方法です。この場合は、Windowsを一旦スリープ状態にして、復帰するとSecurity Frozen状態を解除できます。これで、Secure Eraseが実行できます。また、TxBenchには、Security Frozen状態かどうかを確認できるインジケーターが表示されており、これで現在の状態を確認できます。なお、この方法で使用する場合、Windows 8ではSecure Eraseを実行できないので注意してください(Windows XP/Vista/7では使用できます)。これは、OS側の制限です。Trimコマンド同様にWindows 8では仕様が変更されたようで、Secure Eraseのコマンドがフィルターされてしまい、ドライブに送られません。このため、Windows 8環境では、現状、対処しようがありません。

もう1つの方法が、USB接続で使用する方法です。USB接続の場合は、Windows8でも問題なく使用できます。ただし、SATA-USB変換チップは、Secure Eraseのコマンドをフィルターしたり、送ったふりをする方がいるようです。このため、USB接続の場合は、処理が完了したようにみえて実際にはコマンドが送られていなかったり、エラーが発生して処理が行われない場合があるので注意てください。また、USB接続で使用する場合は、後述するドライブ情報がすべて取得できる製品でのみSecure Eraseを実行できます。ドライブ情報がきちんと取得できない製品の場合は、この機能を利用することはできません。

TxBenchのドライブ情報画面では、ドライブに搭載された機能や現在有効になっている機能、自己診断情報「S.M.R.A.T」の表示、IDENTIFY DEVICEの詳細情報などを表示できます。最新の省電力機能「Device Sleep」に対応しているかどうかや現在のリンク速度(ドライブが対応している場合のみ)やセクタサイズなども確認できるかなり便利なものとなっています。

ドライブ情報画面

TxBenchは、非常に多機能なSSD/HDDベンチマークソフトとして仕上がっています。SSD/HDD用のユーティリティとしても使用できるので、持っていれば便利に使えると思います。本サイトでは、今後、TxBenchをメインのベンチマークソフトとして利用する予定です。興味がある方は、TxBenchをダウンロードして使ってみていただければと思います。

2013年2月11日月曜日

リムーバブルケースとSATA 6g

ネットをみていたら、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで、SATA 6Gでリンクしないどころか、転送速度が異様に遅くなるという書き込みをみました。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、便利なので僕もいくつか購入して使ってみました。しかし、SATA 3Gのときは、トラブルが少なかったのですがSATA 6Gに移行してからというものは、安心して使えるというものにあたったことがありません。今回は、なぜこのようなことが起きるかということを説明したいと思います。

まず、最初に結論から言っておきます。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで転送速度が遅くなるというような現象が発生する原因は、「相性」などではありません。SATAの信号品質の劣化です。そしては、これはケースのデキが悪いからほかなりません。

以前、某雑誌でケーブル品質を2000万円ぐらいするLeCroyさんの信号評価装置でチェックしてもらったことがあります。 このときの結果は、かなり衝撃的でした。

ケーブル、マザー、SSD、電源など機器は、すべて同じという条件下で、接続ポートを変えただけで明確な信号品質の違いがSATA 6Gででてきます。具体的に言うと、Intelチップセットの2つあるSATA 6Gポートの内、下段のポート0の方が上段のポート1よりも信号品質が上です。LeCroyさんいわく、最近の2段重ねのコネクタだと、ポート1の方が配線距離が若干長いのでその当たりが効いているのではないかといってました。

また、機材を変更せずに、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケース(このときは、2.5インチでした)を間に挟んむと、もっとスゴイことになります。信号品質は、誰がみてもわるほど大幅に劣化し、「こんなに悪いんじゃ、SATA 6Gリンクを張れないこともあるよね」というほど劣化します。ジッターも大幅に増加し、バスタブと呼ばれるお風呂状の曲線も平行に近くなります。いずれにしてもありえないぐらい信号品質は劣化し、見るも無残なことになりました。ただし、これは、SATA 6G機器を接続しようとした時のみです。SATA 3G機器では、まったく問題のない綺麗な曲線になります。

リムーバブルケースが2ドライブ版(2.5インチの場合に多いですよね)の場合は、マザーのポート同様に接続ポートでさらに信号品質が変わります。感の良い方ならすでにわかると思いますが、リムーバブルケースのポート1の方が若干良く、ポート2の方が悪くなります。

SATA 6Gの信号のことを考えて、きちんと設計されたリムーバブルケースならこのような問題は置きないかもしれません。しかし、現状では、そこまできちんと設計されたケースがあるのかどうか、個人的には疑問符が付きます。

ということで、SATA 6Gという規格は、ユーザーが考えている以上に信号マージンが多くありません。特にドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースでは、この信号マージンの少なさが完全に仇となっています。SATA 3Gで問題なく使えてからといって、SATA 6Gできちんと使えるという保証はないのです。

また、どことは言いませんが、SSDの基盤の設計が他社と比較して若干悪いものも存在しています(半年ぐらいまえの製品です。今もそうかは知りません)。SSDの基板設計が悪いと、リムーバブルケースを使った場合などの信号マージンのギリギリで使ったときにその差がでてきます。たとえば、同じコントローラを採用したA社とB社は、いつでもSATA 6GでリンクするのにC社は、SATA 3Gでしかリンクしないといったことが発生します。

現在発売中のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、ほとんどのケースで信号品質を劣化させていると考えて頂いて差し支えないと思います。たとえば、センチュリーの「技あり!楽ラック!2.5」などは、僕の環境では、ポート2はSATA 3Gでしか使いものになりません。ポート1は、SATA 6Gでリンクを貼れるSSDもありますが、張れないものもあるという状況です。マザーのポート1と楽ラック!2.5のポート2を接続した場合は、ものによっては1.5Gリンクまででてきます(笑)。

ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースをSSDで使うなら、製造メーカーがSATA 6Gでの接続をきちんとサポートしていることも重要ですが、それに加えて、接続に使用するマザーのポート、そしてケーブル(ケーブルも品質差があります)までを慎重に選択することをオススメします。

個人的には、2ドライブ版のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースはオススメしません。また、ケーブルは、オウルテックの金メッキケーブルが比較的高品質です。細いラウンドケーブルは、良くありません。また、接続には、マザーのポート0を使いましょう。

2013年2月9日土曜日

東芝 HG5シリーズ

東芝の最新SSD、HG5シリーズのベンチマーク結果やインタビューなどが、雑誌や海外のWebサイトで紹介されつつあります。今回は、国内での単体流通が始まったときに混乱しないように、HG5シリーズにおいて現在判明している情報をいくつか紹介したいと思います。この記事を載せて良いのか個人的には、わかりませんが、HG5シリーズの販売が始まればわかることなので事前に記事として掲載しようと思います。

最初に衝撃?の事実からお伝えします。実は、HG5シリーズには、コントローラの違いによって複数のラインが存在しています。一つは、現時点で東芝のWebページにもアップされているTHSNFという型番のシリーズです。この製品は、現在海外サイトなどベンチマーク結果が掲載されている製品です。コントローラに「Marvell」の文字が刻印されているSSDがそうです。このコントローラには、Marvellの刻印が入っているため88SS9187ベースの改良版かと思われる方もいるかもしれません。しかし、実際の設計は88SS9187とは大きく異なるようです。かなりの部分が東芝のカスタムによるようで、事実上の自社コントローラに近いものといっても良いものだと聞いています。

もう1つが、従来のHGシリーズでもお馴染みだったセミコン社の開発による東芝純正コントローラを搭載したバージョンです。最新カタログに「HG5d」として掲載されている「THNSNH」型番の製品がそうなのではないかと個人的には推測しています。このカタログは、東芝のWebページで入手可能なので、みていただければと思います。

2013.4.28追記
その後、セミコン版はキャンセルされたという情報を得ました。
このため、東芝製SSDは、しばらく、Marvell版のコントローラで行くということになるようです。最終的に誤報になってしまいました。申し訳ありません。お詫び致します。
HG5dに関して別記事にてフォローしたいと思います。

両者の仕様を見比べてみるとわかりますが、若干の変更が加わっています。リードライトともにセミコン版と推測されるHG5dの方が最大速度が若干早くなり、最低容量モデルは、記録容量が64GBから「60GB」へと変更されています。Marvell版とセミコン版でどのぐらい性能が異なるのかはわかりませんが、セミコン版の方が若干ですが書き込み速度等は速いと聞いています。(というか、Marvell版は、サチっているため最大書き込み速度が460MB/secほどで止まっている説が有力だと思います)

Marvell版とセミコン版で、その他の性能差がどれだけ違いがあるのかは、現時点では不明です。同じHG5シリーズなので、個人的な推測ですが、シーケンシャル時の最大書き込み速度以外は、性能的にはそれほど大きな違いはなく同程度だと思います。インタビュー記事などでもでている自社のエラー訂正や擬似SLCモード(リライアブルモード)の活用なども同じように設計されていると推測されます。

ちなみに擬似SLCモードですが、これは、MLC方式のNANDフラッシュにSLCライクな書き込みを行うというものです。MLCモードの場合、上位ページと下位ページの2つのページを書き込みますが、擬似SLCモードでは下位ページのみを使用します。このため、記録データ容量は1ビットになりますが、書き込み速度がメーカーいわく約4倍ぐらい速くなるようです。擬似SLCで使用する領域は、消去ブロック単位で指定でき、消去を行えばMLCモードで使用することもできます。

ただし、擬似SLCモードで使用したからといって、書き込みの保証回数が増えるわけではないようです。これは、MLC方式のNANDメモリは、あくまでMLCとして設計されているからです。SLCとして設計されているわけではないので、評価基準自体がMLCになるためSLCとイコールにはならないというわけです。ただ、eMLCのように書き込みや消去、読み出しに使用する電圧などのパラメーターを条件付き(データ保持期間を短くする)で最適化して、書き込み回数を増やしているケースもあります。このような最適化を擬似SLCモードで行った場合、書き込み回数を増やすことができる可能性をメーカーも否定してはいません。