リムーバブルケースとSATA 6g

ネットをみていたら、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで、SATA 6Gでリンクしないどころか、転送速度が異様に遅くなるという書き込みをみました。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、便利なので僕もいくつか購入して使ってみました。しかし、SATA 3Gのときは、トラブルが少なかったのですがSATA 6Gに移行してからというものは、安心して使えるというものにあたったことがありません。今回は、なぜこのようなことが起きるかということを説明したいと思います。

まず、最初に結論から言っておきます。ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースで転送速度が遅くなるというような現象が発生する原因は、「相性」などではありません。SATAの信号品質の劣化です。そしては、これはケースのデキが悪いからほかなりません。

以前、某雑誌でケーブル品質を2000万円ぐらいするLeCroyさんの信号評価装置でチェックしてもらったことがあります。 このときの結果は、かなり衝撃的でした。

ケーブル、マザー、SSD、電源など機器は、すべて同じという条件下で、接続ポートを変えただけで明確な信号品質の違いがSATA 6Gででてきます。具体的に言うと、Intelチップセットの2つあるSATA 6Gポートの内、下段のポート0の方が上段のポート1よりも信号品質が上です。LeCroyさんいわく、最近の2段重ねのコネクタだと、ポート1の方が配線距離が若干長いのでその当たりが効いているのではないかといってました。

また、機材を変更せずに、ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケース(このときは、2.5インチでした)を間に挟んむと、もっとスゴイことになります。信号品質は、誰がみてもわるほど大幅に劣化し、「こんなに悪いんじゃ、SATA 6Gリンクを張れないこともあるよね」というほど劣化します。ジッターも大幅に増加し、バスタブと呼ばれるお風呂状の曲線も平行に近くなります。いずれにしてもありえないぐらい信号品質は劣化し、見るも無残なことになりました。ただし、これは、SATA 6G機器を接続しようとした時のみです。SATA 3G機器では、まったく問題のない綺麗な曲線になります。

リムーバブルケースが2ドライブ版(2.5インチの場合に多いですよね)の場合は、マザーのポート同様に接続ポートでさらに信号品質が変わります。感の良い方ならすでにわかると思いますが、リムーバブルケースのポート1の方が若干良く、ポート2の方が悪くなります。

SATA 6Gの信号のことを考えて、きちんと設計されたリムーバブルケースならこのような問題は置きないかもしれません。しかし、現状では、そこまできちんと設計されたケースがあるのかどうか、個人的には疑問符が付きます。

ということで、SATA 6Gという規格は、ユーザーが考えている以上に信号マージンが多くありません。特にドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースでは、この信号マージンの少なさが完全に仇となっています。SATA 3Gで問題なく使えてからといって、SATA 6Gできちんと使えるという保証はないのです。

また、どことは言いませんが、SSDの基盤の設計が他社と比較して若干悪いものも存在しています(半年ぐらいまえの製品です。今もそうかは知りません)。SSDの基板設計が悪いと、リムーバブルケースを使った場合などの信号マージンのギリギリで使ったときにその差がでてきます。たとえば、同じコントローラを採用したA社とB社は、いつでもSATA 6GでリンクするのにC社は、SATA 3Gでしかリンクしないといったことが発生します。

現在発売中のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースは、ほとんどのケースで信号品質を劣化させていると考えて頂いて差し支えないと思います。たとえば、センチュリーの「技あり!楽ラック!2.5」などは、僕の環境では、ポート2はSATA 3Gでしか使いものになりません。ポート1は、SATA 6Gでリンクを貼れるSSDもありますが、張れないものもあるという状況です。マザーのポート1と楽ラック!2.5のポート2を接続した場合は、ものによっては1.5Gリンクまででてきます(笑)。

ドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースをSSDで使うなら、製造メーカーがSATA 6Gでの接続をきちんとサポートしていることも重要ですが、それに加えて、接続に使用するマザーのポート、そしてケーブル(ケーブルも品質差があります)までを慎重に選択することをオススメします。

個人的には、2ドライブ版のドライブを直接抜き差しできるタイプのリムーバブルケースはオススメしません。また、ケーブルは、オウルテックの金メッキケーブルが比較的高品質です。細いラウンドケーブルは、良くありません。また、接続には、マザーのポート0を使いましょう。

コメント

  1. その基板のSSDのメーカー、どこと言っていただけると、読者としては幸いです。
    よろしくお願いします。

    この雑誌、読ませていただきました。
    ちょっと怖くなりました。

    RatocのSA25シリーズのように、HDDケース自体でリムーバブルになってるものはいかがでしょう?
    予想としては、やはり噛ませてる部分が増えるだけに、信号品質の劣化は激しいのでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. さすがに名指しは厳しいので、ヒントを少々。DRAMやUSBメモリなどもやっているところです。メモリは安いです。結構OEMもやってます。ってほとんどバレバレですか。

      そのメーカーの製品は、ドライブを直接抜き差しするリムーバブルケースで使用すると、リンク速度が他の製品よりも遅くなりやすかったです。

      >RatocのSA25シリーズのように、HDDケース自体でリ
      >ムーバブルになってるものはいかがでしょう?

      基本、接点が増えると確実に信号品質が劣化すると考えて問題はないと思います。ただ、設計がきちんとしていれば、問題なく使えるようにはできると思います。Ratocさんのケースは、価格も高いのできちんとしていると思いたいですが、実際に調べたことはないのでなんとも言えません。ただ、使える可能性が高い製品ではあると思います。

      実は、Lecroyさんのハードバスアナも凄くシビアで、マザーのPort1に繋ぐと、ほとんど6Gリンクを張れませんでした。200万する機械(といっても仕組みが違いますが)でもそうですから、SATA 6Gはシビアです。

      削除

コメントを投稿

人気の投稿