SSHD向け新機能「Hybrid Information」とは

SSDは、相変わらずの人気ですが、その影でSSHDも着実に進化しています。
今回は、SATA Rev3.2で規格化されつつ、あまり話題に上がっていないSSHD向けの新機能「Hybrid Information」について説明したいと思います。現在入手可能なSSHDは、まだ、この機能に対応していませんが、キャッシュに利用するNANDメモリの容量を増加させた次世代のSSHDは、ここで解説するHybrid Information対応に対応していると推測されます。

Hybrid Informationは、不揮発メモリ(NANDメモリ)をキャッシュに利用するHDD(SSHD)向けの新機能です。現在入手可能なSSHDは、NANDメモリ内にキャッシュしておくデータをSSHD自体が管理していますが、Hybrid Informationでは、NANDメモリにキャッシュするデータの管理をOS(ホスト)側で行えます。管理は、論理アドレス単位で行え、OS(ホスト)が、コマンドでこの論理アドレスをキャッシュしてねと、SSHDにコマンドを送ると、その論理アドレスが、NANDメモリにキャッシュされるという感じです。また、キャッシュする論理アドレスは、優先順位をつけることもでき、キャッシュから取り除くコマンドも準備されています。これによって、OS(ホスト)が望むデータをNANDメモリにキャッシュできるようにしています。

ちなみに、SSHD本体がNANDメモリのキャッシュ管理を行なうことを「セルフコントロールモード」。ホスト側が管理することを「ホストコントロールモード」と呼ぶようです。Hybrid Information対応SSHDは、Hybrid Informationがオフのときは、セルフコントロールモードでキャッシュを管理し、Hybrid Informationがオンに設定されると、ホストコントロールモードでキャッシュを管理するようです。Hybrid Informationのオン/オフは、ATAコマンドによって切り替えることができます。

Hybrid Information対応SSHDでは、「Device Sleep(通称、DEVSLP)」にも対応することが推奨されています。DEVSLPは、SATAのPHYの電源をオフにすることで、デバイス(SSDやSSHD)の消費電力をほぼ「0」にする機能です。SATA LPMでは、PHYを省電力状態にするだけでしたが、DEVSLPでは、SATA LPMをもう一歩進めてPHYの電源を完全にオフにする点が異なります。

また、DEVSLPでは、PHYの電源をオフにするため、SATA LPMのようにPHYを使ってデバイスを省電力状態から叩き起こすことができません。そのため、デバイスを復帰させるための信号線を別途準備する必要があります。この信号線は、Intel 8シリーズ以降のチップセットが対応しています。

DEVSLPは、通常の利用状態では使用されません。この機能は、Windows 8以降で実装されたInstantGOを実現するための必須機能です。つまり、InstantGOを使わない限り、不要な機能と考えることもできます。また、Hybrid Information対応のSSHDでこの機能の実装を推奨しているということは、将来的には、InstantGOの環境でSSHDを使うことを想定しているのだと思います。

Hybrid Information対応のSSHDに搭載されるNANDメモリの容量は、24GB~32GBと言われています。これだけの容量があれば、OS起動に必要なファイルをすべてキャッシュに置くこともできるので、そういう使い方もアリなのかもしれません。

Hybrid Informationは、すでにWindows 8.1が対応済みです。対応SSHDさえ登場すれば、すぐにでも利用できる環境が整っています。

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